○村薫 『ストップ』

優衣は20歳の大学生。それは8月の午後。子供たちが公園ではしゃいでる時間だった。道をわたる途中、優衣は車にひかれそうになる。だが、車は彼女の目の前で急に止まった。止まったのはその車ばかりでない。右折しようとしてる車のハザードランプ、空を飛ぶ飛行機、雲、そして子供たちの喚声まで、何もかもが止まった。


夏の午後。彼女は椅子に座っていつまでも沈まぬ太陽を眺めていた。止まってしまった時計。灯ることのない、蛍光灯。鳴らないスピーカー。何がいったいどうしてしまったのか、彼女の重たい頭は回転させようにも中々回らない。まず状況把握だ、と思っても、それより先に彼女の心の闇が重く圧し掛かるようであった。

・・・続かない。